どうも、安讃です。
先日、JR四国では消費税増税による転嫁を除けば27年ぶりに運賃・料金の改定を行いました。背景には厳しい経営状況のなか、さらにコロナ禍による影響が重なったことがありますが、個人的にはよくここまで同じ運賃水準でやってこれたなと思っています。
さて、この運賃・料金の改定に伴い制度的に面白い事例がいくつか消滅しました。乗継割引の廃止、四POSの発売範囲縮小と、最近は四国関連の話題が多いですが、またまた何回かに分けて紹介していけたらと思います。
今回は分割して発売するのが正当な乗車券類についてです。
旅客営業規則では原則として、急行券(特別急行券を含む)は旅客が乗車する列車ごとに発売すると定めています。
(急行券の発売)
そして、同条2項ではこの規定にかかわらず、例外として2個以上の列車を1個の急行列車として1枚の急行券を発売する区間を定めています。今回紹介する予定の松山駅での事例は、2号に定められています。
2
さらに、この規定には例外の例外が存在します。
旅客営業取扱基準規程96条の2 4項では以下のように定めています。
(急行券の発売の特例)(中略)
「規則第57条第2項第2号から第8号の規定」とは先述した2個以上の列車を1個の急行列車として1枚の急行券を発売する区間のことです。この規定の中の、「急行列車ごとに計算した急行料金の合計額が1個の急行列車として計算した急行料金より低廉となる場合」は、四国内では25kmまでと50kmまでの特定の特急料金によって自由席特急券を発売する区間に係るものが該当することになっていました。
それでは発売事例を見ていきましょう。
まずは近距離券売機のものから。
写真は撮っていませんが、四国会社の近距離券売機では「特急利用」モードを選択すると、該当する区間は先述した急行券の発売の特例を適用した金額で案内されていて、ちゃんと列車ごとに分割して自由席特急券が発売されました。
図に示すと以下のようになります。
規則57条2項2号に基づき2列車を1個とみなして1枚の自由席特急券を発売した場合、100kmまでのA特急料金が適用され特急料金は1,200円となります。しかし、基準規程96条の2 4項に基づき列車ごとに発売すると今治・松山間の特急料金は四国内の50kmまでの特定の特急料金が適用され530円、松山・伊予市間の特急料金は四国内の25kmまでの特定の特急料金が適用され330円となり、これを合計すると860円となります。後者の方が低廉であることがわかります。
ただ、運賃・料金改定後は以下のようになりました。
50kmまでの特定の特急料金は廃止されA特急料金になり、25kmまでの特定の特急料金は120円値上がりし450円になりました。それにより列車ごとに発売した場合の合計額は1,210円と2個列車を1個とみなす場合に比べて10円高くなったため、分割するのが正当な事例は四国内では消滅しました。
先ほどは近距離券売機の発売事例を紹介しましたが、今度はみどりの券売機プラス(アシストマルス)での発売事例を紹介します。
この特例はMVの旅客操作では対応しておらず、該当する区間を買おうとして操作を進めると「恐れ入りますが、係員のいる窓口で(ry」となりました。よってみどりの券売機プラスのオペレーター機能やみどりの窓口など係員操作でしか購入できないことになります。(もちろん、それぞれ列車ごとに操作すれば購入できるでしょうけど、別会計になりますし一般の旅客はそんなことは考えないと思いますので)
今回購入した伊予大洲駅をはじめ、みどりの券売機プラスを設置している駅ではこのような掲示がありました。
伊予大洲から今治など、今回の特例に該当する区間ではオペレーターを呼び出して購入するように呼び掛けています。また、「お乗りになるそれぞれの特急列車に対する特急券購入をご申告ください ※お得に特急券をお買い求めいただけます」ともあり、どうやら特例を適用した自由席特急券を購入するには旅客側から列車ごとに発売するよう申告する必要があったようです。
これがみどりの窓口などの対面の窓口であれば旅客側から申告せずとも係員側が列車ごとに発売してくれますが、JR四国の場合みどりの券売機プラスのオペレーターはJR西日本に委託していますので、そこまで手が回らないということなのでしょうか。旅客側から申告する必要があるというのも変な感じがしますが、地域に密着したきめ細やかな対応ができないみどりの券売機プラスの限界がある分仕方のないことのようにも感じます。
今回は以上です。
閲覧ありがとうございました。